昨年の夏は東北の山に登ったので、今年はまた北アルプスに出かけたくなりました。
そこで、あまりハードでなく登山ルートの選択肢が幾つかあるところと考え、立山
三山、奥大日岳の登山基地である雷鳥平に宿泊して、天候を睨みながら山を目指す
計画を立てました。

 

美女平から乗ったバスが室堂に近づくあたり、大日岳の向こうに名峰剱岳の雄姿が
望まれ胸が踊りました。室堂のバスターミナルは夏休みの観光客や子供たちの夏季
学校でごった返していますが、快晴の立山三山を仰ぎながらミクリが池を経て小一
時間歩くと静かな雷鳥平に到着します。宿泊した雷鳥沢ヒュッテはの立山三山、剱
岳への登路、雷鳥坂の直ぐ下に位置していました。このヒュッテはすぐ裏手に湧出
する地獄谷の温泉をそのまま引き込んで
24時間入浴が可能です。またトイレは水洗
でびっくりするほど清潔です。恵まれた立地条件にあることも事実ですが、昔の山
小屋泊りの印象からは程遠い居住性の良さに驚きました。そして目の前の立山三山、
大日連峰が夕日に染まりながら暮れてゆく様子に久しぶりに見るスケールの大きな
北アルプスを満喫し、感動しました。

6日、入山と同じルートで室堂からバス、ケーブルを乗り継いで富山に出ました。富山市
内の路面電車で海に面した岩瀬浜へ。その昔、北前船で栄えた港町です。なんと飛び込み
で高級料亭のお昼ご飯にありつきました。富山湾の魚介類、ことに豊富な白海老がなんと
も美味でした。昔の面影を残す町並みを散策しながら、今年の夏山を打ち上げました。

行程 8月3日(日)東京-越後湯沢-富山-立山-美女平-室堂-雷鳥沢ヒュッテ(泊)
   8月4日(月)雷鳥沢ヒュッテ-新室堂乗越-奥大日岳(往復)-雷鳥沢ヒュッテ(泊)
   8月5日(火)雷鳥沢ヒュッテ-一の越-雄山-大汝山(往復)-雷鳥沢ヒュッテ(泊)
   8月6日 (月)雷鳥沢ヒュッテ-室堂-美女平-立山-富山-越後湯沢-東京

参加 伊藤 森 吉村 谷(弘) 高広 重澤 谷(孝) 大窪


                                              大窪 和子(3回生)

 

立山・奥大日・雷鳥平
  平成20年8月3日(日)〜日(水)

一ノ越から雄山へは大小の岩石が累々と畳なわる尾根を行きます。傾斜も急でなかなか
アルバイト。室堂から手軽に登れるとあって登山者は引きも切らない有り様です。汗
をかきながら登っていると、奥大日岳の山頂に涼しげな風雲のかかるのがみえました。
頂上に近づくころにはまたガスが出て、剱岳は再び姿を隠してしまいました。立山三山
縦走も視野に入れていましたが、メンバーの疲れ具合を考え、雄山神社にお参りをして
下山することにしました。うち一名が大汝山を往復してきました。のんびりと花を楽し
みながらの下りです。真っ白な大きいキヌガサソウが今開いたばかりの清楚な美しさで
点々と咲いているのに出会い、感激しました。

翌日はよく晴れました。その日帰宅す
3名と別れ、5名で立山を目指します。
テント場の傍の称名川に架かる細い橋を
渡り、雄山と浄土山の鞍部、一ノ越へと
向かいます。この路もまたお花畑の中を
行きます。青い空と緑の山々に囲まれた
極楽浄土のようなお花畑の路です。

だんだん傾斜が急になり、一ノ越に近づくと、
浄土山の中腹につけられた室堂からの雄
山への登山路に登山者が陸続と列をなし
ているのが見られました。私たちが登っ
た雷鳥沢からの路にはほとんど人影があ
りません。少し歩行時間は長いのですが。

初日の登山日は夜中から雨
、朝になっても降り止みま
せん。予定していた立山登
山は諦めて雨が小降りにな
った昼過ぎ、近くを散策し
ようと雨具をつけてヒュッ
テを出ました。1時間ほど
ゆるく登って新室堂乗越に
着くころには雨が上がり、
ガスの中に周囲の景色がう
っすらと見え始めました。
ここで二手に分かれ、希望
者3名が奥大日岳を目指す
ことになりました。

 

奥大日へはお花畑の中をひたすら登ります。雪渓あり、池塘あり、その際に咲いて
いる花々、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、コイワカガミ、チングルマ、クルマ
ユリなどが霧のなかに揺れています。花の山として名高いだけあって、高山植物の
種類はまことに豊富です。同じ花なのに他の山で見るものより花が大きく美しいと
感じました。また、ハクサンイチゲとシナノキンバイが混じらずに群生しているの
も珍しい光景です。霧の山頂に14時到着。期待していた剱岳は見えません。下山
するに従って晴れ間が広がり、雷鳥平の全容が見え始めました。雪渓の白、テント
場の赤や黄、幾つかのヒュッテが鮮やかな真夏の緑の中に彩りを添えています。ヒ
ュッテ帰着は予定通り16時少し前。その日合流した1名とヒュッテで出会いまし
た。